構造的に「ボケ辛い」というマイクロフォーサーズシステムの弱点をなんとか補うべく買ってみた「f=0.95レンズ」。万能ではないけれど、なかなか強力です。
・マイクロフォーサーズはボケにくい
・そんな悩みに「f=0.95」
・OM-Dと合わせて使ってみた
・もちろん注意点もいくつか
2018.02.25
マイクロフォーサーズ一眼
いつの間にかiPhoneがメインカメラとなり、一眼(EOS)どころかコンデジ(TX-300)も持ち歩かなくなって久しいですが、春が近づくに...
マイクロフォーサーズはボケにくい
ダントツの軽量コンパクトさが魅力のマイクロフォーサーズ(MFT)システムですが、難点は「ボケ難い」こと。一般的に焦点距離が長い方がボケには有利ですが、MFTは物理的に焦点距離がフルサイズの半分となるため結果的にボケ難い。
明るいレンズを使えばボケますが、高価かつ大きなものになりがち例えば元祖MFTのOlympusでは「25mm f=1.8」が3万円くらいで買える(でも物足りない)のに対して「25mm f=1.2」になった瞬間5倍!の15万円…しかもこれでボケが満足できるかどうかは、使ってみないとわからないのが難点です(最近はレンズレンタルもありますが)。
そもそも「ボケ」はコンデジやスマホカメラには無い、デジイチ最大とも言うべきアピールポイントなのに、それが苦手というのは本末転倒では無いか、と思ったり…
そんな悩みに「f=0.95」
そんなMFTユーザーが流れ着く(?!)先の一つがこの「25mm f=0.95のレンズ」。「25mm f=1.2」より明るくて、1/3の値段で、2/3のサイズ(長さ)で、1/2強の重さ。MFTの身軽さをスポイルすることなく、ダントツの明るさ「f=0.95」(かつて、NASAが発注したカールツァイスの「f=0.7」というものがあったらしいですが)が5万円!
もちろんこの値段とコンパクトさには理由があって、今や絞りもピントもオートが当たり前で、さらに防塵・防滴で強力な手振れ補正が当たり前、というこの時代にあって「完全マニュアル」と割り切る代わりに明るさと低価格・コンパクトを実現したのがこのレンズ。
最近のデジカメは完全に「電子機器」と化しているのに対し、このレンズは電気回路ゼロ。カメラ側からは絞り・ピントの操作ができないどころか、レンズの存在したいを認識できないため、機種によっては「レンズが無いからシャッターが切れない」というものもあるため注意が必要ですが、でもそれらをガマンできれば「f=0.95」のレンズが5万円で手に入ります。
OM-Dと合わせて使ってみた
で、実際に自分のOM-Dと合わせた感想です。
元々コンパクトなOM-Dのボディと合わせても違和感が無い大きさで、鉄を多用しているらしく見た目よりズッシリした感じはあるものの、重たいと感じるほどではありません。
またOM-Dはボディ側にも手振れ補正機能持っており、またISO感度とシャッタースピードはオートであわせてくれるので、実質的には「絞り優先でピント合わせのみマニュアル操作」という感じ(まぁ、そもそもこのレンズは「ボケ専用」なので絞り開きっぱなしで、実質操作はピントだけ)。
ピント合わせは昔の様なスプリットプリズムとかは無いので結構気を使います。なぜかフォーカスピーキングが作動しない(使い方を知らないだけかも)ので適宜拡大表示を使いながらやっていますが、乱視の自分には結構シビア。
また当たり前ですが被写界深度がとても浅いため、慎重にピントを合わせたハズなのに、微風で被写体が動いたり、自分の体がホンの少し前後に動いただけで合焦点がズレてしまうため、特に自分の体の固定に気を使います(よろける様では、いけない!)。
なお撮った写真のボケ具合は、さすがにトロトロでイイ感じ。MFTでもこんな写真が撮れるんだ、と思うほど。
全開放(つまりf=0.95)では結構周辺部で粗が出る(ちゃんと撮るなら1~2
段絞れ)、というコメントもありますが、これも「ボケ専門」レンズとして盛れば問題無し(対象物を視界ギリギリに置くことはあまり無いので)。また被写体から数m離れて撮った時の背景ボケが二重になってイヤ、というコメントもありましたが、そんなに離れて「ボケ写真」を撮ることなんて無いし…
もちろん注意点もいくつか
ただ使いこなすために注意すべき点もいくつか。
屋外で、しかも晴天で写真を撮ることが好きな人にはNDフィルタ必携で、レンズフード推奨。
普通に撮っているつもりなのに絞らないとシャッターが下りなかったり白トビすることは日常茶飯事(でも絞ったらこのレンズの意味が無い)。また、さすがに大手&日本メーカー品に比べるとコーティングに差があるのか、フレアにも弱い感じがしています。
またある程度奥行きがあるモノを中心に撮る場合は多少絞ってあげないと「ピンポイント以外ボケボケ」になってしまいますが、その勘所は難しく(被写体をカバーしつつ前後のボケも十分、ってポイント)、小さなファインダーやモニターでは判断しきれないことが多く(乱視だし…)、ここは割り切って物量でカバー(要は、ちょっとずつ絞りを変えながら数ショット)しています。
ただ、いずれにしてもこの値段、大きさ、明るさ、ボケ。最初は面倒に思っていたピント合わせも場数を踏んでいるうちに「さじ加減」できる面白さを再発見(かつての銀塩時代はソレが当たり前だったし)できたので、かなり満足度が高い、常時携行するレンズになりました(特に望遠で撮る必要が無い場所ではOM-Dにはこのレンズをつけっぱなしで、普通の写真を撮る時にはレンズ交換ではなくiPhoneで済ませてしまう、ということも結構あります)。
中一光学SPEEDMASTER 25mm F0.95(マイクロフォーサーズ) 51,820円(amazon)
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