GW都内遊び二日目はかつて小石川養生所として知られた通称「小石川植物園」へ。丘陵地でも無い一見何の変哲も無い普通の住宅街の裏に、ビックリするほど緑が深くて広い、贅沢な空間が残されていました。
「東京大学大学院理学系研究科附属植物園本園」というやたら長い(でも所属先をフル標記しただけで”東大の植物園”以上の意味は無い)正式名称を持つ小石川植物園は、そもそもは薬草栽培が目的で江戸幕府が開いた「小石川御薬園」であり、その後養生所が併設されて「赤ひげ」先生などが活躍した「小石川養生所」と呼ばれる様になった場所。
薬草栽培が目的で作られた場所なので、まぁちょっと広めの開けた公園なんだろうなぁ、と思って行ったのですが、入口についてみると、かなり想像とは異なる様子。
周囲は高さ2mほどの壁で囲われていて中を見通すことはできないものの、立派な木々が並んでいる様子が伺えます。そして入口から垣間見えるのは、そこそこ深い木々の間に伸びる緩い坂道。
さらに中へ入っていくと、さすがに丘陵地ではないので坂道はすぐに終わって平坦なスペースになるものの、開けた草原っぽい空間はごく僅かで、基本的には広葉樹から針葉樹までいろいろな木々がかなりの巨木を含めて群生する、「植物園」とか「薬草園」という語感からは想像つかないほど立派な林が広がっていました。
もちろん「適当に」「勝手に」生えている訳では無く、種類ごとにまとめられて「○○の林」「××の並木」の様な名前付きで整理されており、またそれぞれの木にも名札が掛けられ、ちゃんと「植物学」に沿って整理,整備されています。また「ニュートンのリンゴの木(が接ぎ木栽培で増やされた株を移植したもの)」や「メンデルのブドウの木(遺伝研究で有名なのはエンドウ豆だけど)」の様な由緒ある木々が移植,保存されていたり、もちろん幕府時代の薬草園や養生所の跡なども一部残され、歴史的な事物を継承しつつ植物学の教育・研究のために整備された施設となっています。
また園の南側は池を囲む日本庭園になっています。
都内でこれだけ深い緑の中を歩ける場所は非常に貴重。天気の良さも手伝ってかそこそこ多くの人々が訪れており、簡易テントを持ち込んでのんびり寛いでいる人、捕虫網と駕籠をもって走り回っている子供ら(虫取りOKなんですかね)、キャンバスに向かう人々、と皆思い々々のスタイルで自然を楽しんでいます。
私たちも林の中をのんびり散歩しつつ途中お茶屋でお萩をお供に一服し、さらに日本庭園を歩き、とのんびり過ごすことができました。
この様に気軽に、でもかなりのレベルで「自然」を味わえる絶好の場所ですが、注意点が2つ。
一つは駐車場が併設されていないこと。私たちは近くのコインパークに止めることができましたが、タイミングによってはそこそこ難渋するかもしれません。
またもう一つは日本庭園の端にある洋館。庭ともマッチして非常にきれいな風景を作り出しているのですが、実はこれは小石川植物園とは別物です。
元東京医学校の本館が移築されたもので、東大関係で現存する最古の建築物として国の重文にも指定されている由緒あるものですが、今は建築関係の博物館になっており、その面では小さいながら興味深い施設ではあるのですが、「植物園」関係と思って行くと「全然違う」とガッカリするかもしれません。しかもここへ入るためには一旦植物園から出なければならず、そこから再入場することができません。
とても綺麗な洋館なのでつい行きたくなってしまうと思いますが、システムを正しく理解して判断されることをお勧めします。
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