名前はもちろん知っているし、全体の絵柄や雰囲気も朧気ながら知っている気がするけれど、ちゃんと見たことは無い「京劇」。せっかくなので旅行者向プログラムを提供している「タイペイ・アイ」を観劇。改めて歌舞伎にそっくり(ちょっと苦手)、と感じました。
もちろん京劇は大陸由来ですが、すでに100年程前に劇団を招く形で台湾でも上演されるようになり、その後戦争などの影響も含めて紆余曲折の末、今に至っているそうです。その際中心的役割を果たした一族がその後旅行者へ台湾の文化を紹介するために立ち上げたのが今回訪れた台北戯棚とのこと。
公演は基本週末の夜だけで、1~1.5時間ほどの短めなプログラム。また観劇以外に「出演者が化粧する様子を見られる」「化粧をしてもらえる」「出演者と一緒に写真を撮る」「衣装を写真を撮ってもらう」という様なサービスも合わせて行うことで京劇に親しんでもらおう、という趣向になっています。
この日の演し物は「西遊記」の一節。娘が差し出せ、と化け物に脅されている村人が、ちょうど通りかかった三蔵法師一行に助けを求め、孫悟空が大立ち回りを演じて無事やっつける、という、西遊記に山ほど詰まっているけど具体的に何番目のお話しだっけ?と思いだすこともできないくらい標準的なストーリー。
このため特に解説が無くても「見ればわかる」という内容でしたが、さらにここ台北戯棚では舞台の左右にプロジェクタが用意され、リアルタイムでセリフが中国語,日本語,英語で表示されるため、細かいところでも置いておかれることはありませんでした(ストーリー自体には細かいところなどは無いのですが、道化役の猪八戒が細かい笑いを取りに来るので、そんな時もほぼ出遅れることなく着いていくことができました)。
また日本人旅行客だけではなく欧米人も多く来ていたのですが、特に欧米系の子供らが「英訳されたセリフが表示される前に」笑っていたのがとても印象的でした。子供が雰囲気を感じ取る力ってすごいなぁ。
こんな感じで1時間ほど京劇を楽しみましたが、改めて感じたのは「歌舞伎と一緒だなぁ」。簡単な書割以外の舞台道具は用いず、舞台脇に控える楽師達が奏でる簡単な音楽と効果音に合わせて、顔を塗りたくった演者が必要以上に大袈裟な動作と表情で「型」を演ずる。小道具や型にはそれぞれ特定の意味や決まりごとがあって、観劇の際には事前にそれを知っていることが暗黙の裡に求められる…(個人的にはその様な「決まり事」が多い物事は閉鎖的な感じがして好きでは無いです…)
実際には歌舞伎の成立は17世紀、京劇は18世紀というどちらも比較的新しめの芸能ですが、過去に遡るとどこかに共通のルーツがあったのかもしれないなぁ、と勝手な想像を巡らせつつ、観劇終了。
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