今日は「成人の日=祝日」ですが製造業などは稼働しているところが多く、結果平日は小学校で埋まってしまう工場見学に一般人が参加できる、狙い目。11/23(勤労感謝の日)の「スズキ歴史館」見学に続いて、今回はスバルの矢島工場でクルマづくりを生で見学してきました。
東松山ICから矢島工場へ向かう中、改めて感じるのは「空が広い」。このヘンは広大な関東平野が北西に向かってググッ、と入っていくところにあたるので、一面真っ平ら。しかも背の高い建物が少なく畑も多いため、遮る物なく空が遠くまで見通せます。
そんな群馬の大地を暫く走った後(ビックリするくらいスバル車が多かったのは気のせいではないと思う)、スバルの工場が固まっている地区へ到着。
正門からぐるりと回って見学ホール前に車を駐車。真っ先に目に入ってくるのは「ジェット戦闘機(!)」ではなく、「ジェット練習機」。スバルの前身は中島飛行機がいくつかに分裂したうちの一つであり、今も航空機部門を持つ会社(特にヘリコプターが強い)。そのスバルが日本の戦後初の航空機として手掛けた「T-1中等練習機」が誇らしげに屋外に飾られていたので、当然写真を撮ってからホール内へ。
見学は、最初に紹介ビデオを見てから、工場へ移動してラインを見学し、その後実車が展示されているホールを見学、というオーソドックスなルート。
簡単な会社紹介のあとに、鉄シートからプレス,溶接,塗装,組み立て,検査という車両の製造工程が実際の工場内を映した動画で紹介されました。スズキの様な「3Dカメラが機械装置の中まで潜った迫力の動画(!)」などは無く、まぁオーソドックスな内容。またあわせて「環境=工場内の省エネおよび生産工程から出る端材のリサイクル」についても紹介されていたのが、いかにも「工場見学」っぽいところ。
ビデオ見学後は2チームに分かれてプレス~溶接工場と組み立て工場へ。
工場内にはラインに沿ってキャットウォーク様の見学専用ルートが設けられており、そこを歩きながらクルマができあがっていく様子を順に見学。最初はロール状に巻かれていた鉄板がほどかれて、なんとなく車の側面形状に見えなくもないカタチに打ち抜かれて、何度も叩かれている内に車体の一部っぽい立体に変形していきます。そしてそれらはロボットに掴まれ、組み合わされて、バチバチ火花を散らしながら溶接されて、車体に組み上がっていきます。
溶接工程などは時々TVなどで見かけることもありますが、改めて実物を見るとその迫力もさることながら、複数のロボットがお互いに手伝いあいながら一所懸命働いている様子がとても微笑ましく感じました。ラインの左右からだけでなく上方から必死に手を伸ばしているロボットがいたり、溶接ガンを颯爽と振り回しながらバチバチ火花を散らしているロボットに向かってパネルを必死で支えているロボットがいたり…
次に向かった組み立て工場では、主にパワートレーンと足回りを組んだものを車体に組み付ける工程を見学。脇のラインで足回りの上にエンジンやミッションを組み付けた後、それを車体ラインに運んで下から持ち上げて固定するのですが、組み上がった下回りを載せた自動搬送車が絶妙なタイミングでメインラインを流れる車体の下に潜り込んでいく過程は、単純な動きではありますが飽きることなく見入ってしまいました。
ここまでざっと1時間。見学専用ルートを歩きつつ、要所々々でとまって案内の方からその場所で行っている作業に関する説明を受けます。かなりわかりやすく説明してくださるのですが、やはりここでも他の工場見学と同様に「スバル、あるいはこの工場ならでは」という話題はほとんど無く、ちょっと残念。
また、見学ルートに沿って細かい作業工程や機械の紹介が書かれたパネルが掲示されているのですが、コレらを眺めたり説明を受けたりする時間は全くなく、そちらもちょっと心残り。
工場見学後は最初の見学ホールに戻り、隣接する車両展示ホールを見学。
ここには3点の技術展示(active safety,衝突安全,アイサイトのカメラ認識)がありますが、メインは記念車の展示。いわゆるスバルの「てんとう虫(360)」から1000,1500,アルシオーネ(初代),BRZ,そしてラリー仕様のインプレッサ…
このゾーンは写真撮影可なので、それまで大人しくしていた見学者達は写真撮影に夢中になって、話しを聞かずに勝手に歩き回って…ということで、残念ながら最後はちょっとグダグダ。
さらにその奥にはhall of fameの様な小ホールがあって、そこにはスバルの技術思想などの紹介文とともに360の石膏原寸モデル(当時線図起こしに使った本物)などが展示されているのですが、ここもほとんど時間切れで、また話しを聞く人も少なく、なんとなく締まり無いまま見学会は終了。
あいかわらずモノづくり工場の見学は非常に楽しいのですが、同時に「もっと自慢話を聞きたい」という感想もいつも通り。日本人は皆謙虚なのか、あるいは特に自動車などのモノづくりは会社ごとの差はほとんど無くなってしまっているのが実態なのか…そんな楽しかったのだけどちょっとだけ物足りない気分を味わいつつ、帰途へ。
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