長崎市内で市電(いわゆるチンチン電車)に乗っている時に見かけた「お化け屋敷で科学する」という不思議なチラシに興味を惹かれて、長崎歴史文化博物館へ行ってみることに。
ここは長崎奉行所の跡地に作られたそうで、当時の石段などをそのまま補強して使うなどしており、建物の外観もお城の一部の様な、なかなか立派な施設です(ちなみに設計はあの黒川紀章らしい)。
まずは特設展示の「お化け屋敷で…」へ。入ってすぐにあるのは、4部屋くらいの小ぶりな「お化け屋敷」。真っ暗な中、置いてある物がカタカタ鳴ったり、オドロオドロしい声で話しかけてきたり、そして最後はお約束、人形のふりをしていた人が背後から迫ってくる、というもの。
お化け屋敷エリアを出るとすぐにいくつかのディスプレイとスイッチ類が。実は赤外線カメラで映し出されたお化け屋敷の中の様子を見ながら先に出たお客様が音をを出すなどの仕掛けを動かして、次のお客様を怖がらせる、という趣向。
まぁ、あまり趣味が良いとは言えない仕掛けですが、これを体感してもらった後にパネルなどで「人はなぜお化けを見てしまうのか」「なぜ怖いと感じるのか」などを科学的に説明する、というのが全体の構成。
人は視界情報から「人の顔」を認識する機能が強化されており、逆にそれが過剰反応してランダムな模様から人の顔に見えるパターンを誤抽出してしまう、とか、恐怖感は染色体上に生来持っているものと、生まれた後に強化学習されて定着してしまうものがある、など、を一部のビデオも交えながら説明が並びます。また怪奇現象とされる振動やガラスなどの破損も低周波振動や共鳴によるもの、と解説したり。
どうやらオリジナルプログラムはお台場の「日本科学未来館」とフジテレビがタイアップして作ったようで、数年かけて日本各地の博物館をまわっている様。各地で「万単位の来場者」を集める人気展示の様ですが(その後解説本まで出されている)、う〜ん、なんかチープ。
狙いはわかるのだけど、規模が小さいからか、お化け屋敷部分以外は大半がパネルだからか…残念ながら私達が行った日は時間が早かったせいかあまり人がおらず、子供達の反応を見ることはできませんでしたが、さてさて…
一方の常設展示は、さすが長崎だけあって、古くからの中国・韓国との貿易や、さらに鎖国後のオランダ交易、そして文明開花〜明治の近代化まで、いろいろな事物を交えてなかなか華々しい歴史と文化が説明されています。
またなるべく説明文を読んで終わり、とならない様に、眼鏡橋の構造を理解させる立体パズルとか、当時のカメラを模した写真撮影(数十秒静止している必要あり)とかの体感物を用意しようとする工夫も凝らされていて、なかなか力が入っている感じ。
ところが展示は明治中頃で終わってしまい、近代~現代については全く触れようとしていません。「昭和はまだ”歴史”では無い」ということなのか、それとも…
いろいろな立場もあるし、その地域,地方によって物の見方や慎重を要する事項はもちろん異なるわけですが、もしこの展示の欠落が「論議を避けるために意識的に隠す」ためだったとしたら、あまり健全では無いなぁ、と思ってしまいました。
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