満で喜寿を迎えた母が珍しく「家族全員で(昔行った)うかい鳥山へ行きたい」と言い出して、自分で予約まで。「昔行った」と言われてもほとんど記憶になく(小学生の頃に「スズメを食べる」って連れて行かれた所か?とは思うのだけど定かではなく、増してや「また」と思う程素敵な場所だったとも思えないのだけど…)、でも調べてみると随分と雅な感じ。ただし結構不便なところにあるので、レンタカーを借りて行くことに(私のメガーヌでは乗り切れないので)。
当日は「終日雨」の予報通り、残念ながら雨。梅雨だから仕方が無いのだけど、足場が悪いと年寄りには辛かろうなぁ、と思いながら実家で両親らをピックアップ。中央高速を走っていくとなぜか晴れ間が。おやぁ?と思いながら圏央道に抜けて高尾山の長いトンネルを抜けると、なんと晴天。
うかい鳥山は想像以上に著名な様で(そりゃ、そうだ。なんで「うかい亭」とは別物、って思い込んでいたんだろう?)、既に人で一杯。大半が6〜10人弱の集まりで、3世代家族でご会食、とか、仏事の後に親戚同士で、とか、ご両家の初顔合わせ?と思われる様な集まりとか。
沢に沿って小さな庵の様な離れ座敷が多数設えてあり、またあちこちに庭や小さな滝なども作られていて、それぞれグループ毎に風情のある個室で水音や庭の形式を楽しみながらゆったりとお食事を味わう、という趣向なので、前述の様な集まりには格好の様。夏の夜は蛍が舞い飛び、秋には紅葉が楽しめる、という贅沢な空間。
#う〜ん、ってことは「スズメを食べに来た」ところとは違うのかなぁ…
そうは言ってもかなり入り組んでいて、また平坦ではないので雨では辛かろうなぁ、と思える場所ですが、信じられないことに「晴れ」。しかもさっきまで降っていたらしく、夏に向かって深みを増しつつある木々の葉や古い茅葺き屋根に生した苔などが雨露に濡れて実にキレイ。う〜ん、悪運強し(!?)と思いつつ、案内された庵へ。
ここの名物はもちろん「鳥」。絶対に素材が良いはずなので「塩」で味わいたいところですが、一方でここの様な古くからの鳥料理屋は長年かけて育ててきた「たれ」に絶対の自信があるはずで、どちらを選ぶか悩ましいところ。当然家族の中でも意見が割れて、結局半数が「たれ」で、自分を含めた半数が「塩」を選択。
卓上に掘られた囲炉裏で焼いて、まずは一口。やはり素材が良いおかげで実に美味。でもきっと「たれ」も美味しいんだろうなぁ、って思って結局我慢しきれず、脇の壺に入っていたタレを皿にとって、残った肉に塗って焼き直し。体良く塩、タレ両方を楽しんで、う〜ん、満足。
もう一つのここの名物は「麦とろご飯」。実は「とろろ」は子供の頃から大の苦手ではありますが、お店のお勧めは笑顔で味わってこそ、大人。「きらいなハズなのに…」と怪訝そうにしている家族の視線を感じつつ。麦とろご飯を一口、二口。さすがに子供の頃に感じたであろう「不味さ(あるいは不快感?!)」は感じませんでしたが、でもわざわざ有り難がって食べる程のものではないなぁ、と再認識。
車の運転があるのでお酒を飲めなかったのが残念だけど、でも久々に家族全員で素敵な場所で良い時間を共有することができたので、自分達はもちろん、母にとっても忘れられない一日になっただろうな、と思いつつ、席を立って戸を開けると一匹の虫が室内へ。まわりを木に囲まれているので仕方なかろうな、と思いながらよく見てみると、なんと源氏蛍。
外に出してあげようとしてそっと囲むと、微かに発光。最後までサービスイイなぁ、と思いながら、帰路へ。
#今度は秋に、しかも夜ツレと二人で来れたらいいな、きっと。