広大なワサビ畑(大王わさび農場★☆☆,安曇野)

水のある風景

 「わさび田=山間の細い谷間を流れる清流」というイメージを完全に覆す、広大な観光農場は食事からデザート・お土産モノまでワサビで溢れていますが、肝心の「生ワサビ」を見られる場所は結構稀でした。

(more pictures)

安曇野のワサビ田は谷間ではなく平地
ワサビ田なのにワサビが見えない
食べ物は美味しかったけどニッチ
豊富な水が産み出す不思議な光景も

安曇野のワサビ田は谷間ではなく平地

 元々わさびは比較的冷たくキレイな水を好む植物なので、それが作られる「わさび田」も伊豆など山奥の谷間にある清流に沿って細長く段状に連なって作られるイメージがありますが、ここ安曇野にある「大王わさび農場」は、完全にそれとは真逆の観光農場。
 そもそも安曇野は複数の扇状地が重なり合う比較的平坦ながら水が豊富な場所なので、それを活用して作られたビックリするほど広くフラットなワサビ田(どうやら東京ドーム10個分らしい)を個人で所有、経営しているのがこの「農場」だそう。

 さすがにこの広さなので、観光バスもたくさん停められる広い駐車場を持つ、安曇野市の有力観光地の一つになっています。

ワサビ田なのにワサビが見えない

 駐車場に車を止めてちょっと歩くと、すぐに目の前にワサビ田が広がります。時節柄、色とりどりの鯉のぼりが勢いよく泳ぐ(強風注意報が出てました)青空の下に広がる田んぼには一面緑色の葉を伸ばしたワサビ…と思ったのですが、目に入るのは遠くまで広がる黒いビニールシート。

 わさびは山間の清流でよく育つだけあって、直射日光は苦手とのこと。山間部ならともかく、この様な広い田んぼでは日を遮るものが何もないので、結果「清流のわさび」を期待して訪れた私たちが目にするものは「黒いビニールシートだけ」(幸い今日は風が強かったので、一部でシートがめくれて青々としたワサビを見ることができましたが…)。

 さすがにわさび農場に来たのにワサビを見ることができない、というのはまずいと思ったのか、隅の方にビニールシートを人が入れる高さまで上げてワサビを見られる様にしている一角がありましたが、気づかない人も多そう。

食べ物は美味しかったけどニッチ

 2つある(もっとあるのかな?)レストランの「売り」はもちろんワサビ。ただしさすがに「わさびメイン」の食事は難しいのか、メニューは微妙。
 洋風レストランで食べられるのは「ワサビを添えたステーキ(牛とか豚とか)」一方の和風レストランで食べられるのは「白飯+ワサビ」と「蕎麦+ワサビ」で、残念ながらどれもワサビは「添え物」の扱い。
 どうせだったら、例えば「ワサビの薄切りを使ったかき揚げ」とか「ワサビを刻み込んだ炊き込みご飯」くらいあればいいのに(美味しいかどうか、知らないけど)…

 もともとここで昼食にする予定だったので、蕎麦と白飯(「湧水飯釜大王庵」という名前だったので最初は「釜めし!」と思ったのですが、釜で炊いた白飯でした…)をいただきました。
 さすがにどちらもワサビは「自分でおろす」ので、甘みがある美味しいワサビを堪能することができましたが、例えば天ぷらとかちょっとした肉類とかのサイドディッシュ類は一切無い、というとても潔いレストランだったので(さすがに子供用のメニューは別にあったけど)、普通に外の蕎麦屋や和食屋さんに行った方が普通に食事を楽しめたのだろうなぁ、とちょっと後悔(さすがにこのヘンの和食屋さんなら生ワサビも普通に置いているだろうし)。

豊富な水が産み出す不思議な光景も

 食事の後で園内を散歩していると「『珍百景』ふたつの川」という場所に遭遇。

 大王わさび農場では「安曇野の原風景を残す」取り組みもしているそうで、ちょうど二つの川の合流点の手前に昔ながらの水車小屋が数件建っている場所があります。
 よく見ると、水車小屋が立っている「蓼川」はキレイに水が澄んでおり、一方ですぐそこを平行して流れている「万水川」は少し勢いがあるのか緑がかった白濁した流れになっています。
 そして二つの川は水車小屋のすぐ下流で合流するのですが、なぜか合流した後も二つの水の境目はくっきりしたまま、混じり合うことなく流れていく様子が見て取ることができ、これを「『珍百景』ふたつの川」と称している様です(なぜ「百景」なのかはわかりませんが…)。

 「安曇野の原風景」というだけあって、川辺は水草などが生い茂る自然のまま。古びた茅葺屋根の水車小屋の脇を流れるキレイな川がふたつ、混じり合うことなく流れていく様子はとても長閑な、でも暫く見入ってしまう不思議な光景でした。

 そんな「わさび」というイメージからは少なからず外れてしまうところもありましたが、豊富な清水に囲まれた気持ち良いスペースであることは間違いないので一度は訪れてみる価値あり、と思います。

hisashi

hisashi

長年の間にあちこちの引き出しに少しずつ溜まったガラクタを ただただ、適当にひっくり返して並べてみました。

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