実は諏訪湖を取り囲む様に4つに分かれている、とは知らなかった、信濃の国の一之宮「諏訪大社」。全部は無理なので、名前からメインだろうと思って「上社本宮」へ行ってきました。普通の「大鳥居から真っ直ぐ神殿へ向かってお参り」とはちょっと違う風変わりなレイアウトの神社でしたが、森に包まれ華美に走らない落ち着いた空間にすっかり心身が癒されました。
諏訪大社は諏訪湖を挟んで南岸の上社と北岸の下社に分かれ、さらにそれぞれが前宮・本宮/秋宮・春宮の2つずつ、合わせて2社4宮から構成されているそう。名前からは「上社本宮」が中心の様に感じられますが、ホームページには「上下関係ではない」と書かれていたり、また最大のお祭りである「御柱祭」は「諏訪湖北岸側(=下社)」と「南岸側(=上社)」で分かれて行うなど、事実上は「上社・下社は別の神社」と考えた方が良いそうです(問い合わせ先も上社関連と下社関連で分かれているし)。
南アルプスからつながる山塊の北端東側斜面の際で、ご神体とされる守屋山へ正対して聳える大きな鳥居の向こうに拝殿などが山際に沿って立ち並ぶ、上社本宮。しかし、実際には大鳥居を抜けた正面には神様が祀られていないし、またこの大鳥居に続く道もメインの参道ではありません。
上社本宮の正規の参道はこの大鳥居から見て左手から山塊に沿う様に南東から向かってくる道で、途中手水場が置かれる別の鳥居からは森に包まれた空間の中を回廊が設けられ、なかなか厳かな雰囲気を醸し出しています。
この回廊の両脇にもそれぞれ由緒ありそうな小さな社や社殿が並び(中には家康公が建立させた四脚門など)、そこを進むと神様へお参りするためのスペース、境内上段へ続きます。
中へ入ると正面に神様が祀られる拝殿があり、その手前に斎庭を隔てて拝所があるのですが、実はこの境内上段は参道と平行に北西(入口側)から南東(拝殿側)に伸びる細長い空間になっています。
つまりここ上社本宮では正式なお参りルートに沿うと、まずは神様の後ろ側にある入口から北西に向かって参道・回廊を進み、途中神様を左手に見ながら一旦通り越した後、左回りでUターンして神様の正面に立ち、そのまま拝所へ進んでお参りする、というなんとも不思議な動きをすることになるのです。
また一般的に神社は南または東か、あるいはご神体を背負う方向を向くことが多いそうですが、この上社本宮は北西向き。ご神体である守屋山に対しても真横を向いています。
さらに加えると、この参道入口の先には「上社前宮」があり、つまり「前宮」はなぜか神様の「手前」ではなく「遥か後方」にある、という、これまた不思議なレイアウトになっているのです。
こんな不思議なレイアウトを持つ諏訪大社上社本宮ですが、中部地方唯一の原生林(だそうです)に包まれた建屋・祠はそれぞれ由緒あるもので、どれも過剰な装飾や彩色などは施されず、非常に落ち着いた佇まいを見せています(実は戦国時代に消失するまでは極彩色だったそうですが)。「諏訪造」と呼ばれる独特の様式を見せる拝殿・幣殿は、普通であれば豪奢な本殿の奥に鎮座している神鏡がすぐ軒先にある様な距離感で置かれているため、余計に自然と一体になって、より身近に神様がいる様に感じさせてくれている気がします。
そしてもう一つ忘れていけないのが「御柱」。お祭の時に山の斜面から太い丸太を滑り落とすシーンで有名ですが、諏訪大社各宮の境内はそれぞれ4角にこの御柱が立てられています。実物を見るとその大きさに驚きますが、さらに背面にまわってみて、その様子にビックリ。イメージ1/6くらいが削られて平面になっており、うん、確かにコレは山から滑り落とされてきたんだなぁ、と納得。
さすが日本最古の神社の一つ、とされるだけあって、比較的コンパクトでありながら歴史とパワーが感じられる空間にすっかり心身ともにリラックスできました。これならもう一ヶ所くらいまわりたいなぁ、と思ってしまい、結局次は「下社春宮」へ向かうことに。
2019.08.13
諏訪大社下社春宮(☆☆☆,諏訪)
最初に訪れた「上社本宮」ですっかり心身がリラックスできたので、続いてもう1宮、「下社春宮」へお参り。上社本宮と比べてよりシンプルかつコンパ...
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