東芝が川崎に開いている体験型科学館「東芝未来科学館」を見学。さすが総合電機メーカーの東芝が手掛けているだけあってインタラクティブな展示が揃っていますが、結構手放してしまった事業関連の展示も残っていて、今後どうなるのかちょっと気になりました。
かつてはこんなに華やかな街ではなかったのになぁ…と思ってしまう川崎駅。変貌を遂げた理由の一つが東芝事業所跡地の再開発で生まれたラゾーナ川崎。その関係で(きっと)東芝の企業ミュージアム「東芝未来科学館」はこの1角にあります(元は本社/本店も登記上はここにあったそう。”東京芝浦”電気なのに…)。
1フロアの館内は大きく3ゾーンで構成されています。1つ目は「東芝の歴史」で、2つ目は発電や医療器械,エレベータなど、普段の暮らしの中で電気と情報処理で実現されている(あるいは実現されようとしている)機器類などの紹介(もちろん東芝が持っている技術/製品を中心)。そして3つ目は静電気や電磁力など比較的「電気」に近い領域での基本的な「科学/メカニズム」の紹介。実演やサイエンス・ショーなども行われています。
東芝の創始者は数々の「からくり」の発明で知られる「からくり儀右衛門(本名 田中久重)」であり、その作品が多数展示されていました。ゼンマイを動力源として歯車とカム・梃子等を巧みに組み合わせることで「本当に弓を曳いて矢を飛ばす」「本当に筆で紙に文字を書く」を実現している「からくり人形」や、やはりゼンマイと歯車で「季節ごとに変化する1刻の長さ」を自動修正しながら不定時法の時刻を示す「和時計」など、どれも150年以上前に作られたとは思えない素晴らしい発想と細工です。
ちょうど係員が「からくりホトトギス」のデモを行ってくれましたが、籠の中の時鳥が実に本物らしく身を震わせながらキレイに鳴く様子にまずビックリ。しかも、これは「オリジナル」で、しかも「今まで壊れたことが無いので中を開けたことがなく、従って詳細の構造はよくわかっていない」という説明に、さらにビックリ。
そしてもちろん「からくり儀右衛門」はこの様な「からくりモノ」だけでなく反射炉や大砲,蒸気罐などの大型設備・機械類の設計・製造などにも携わり、それが東芝へと引き継がれていったということです。
「東芝の歴史」後半部分では、特にエポックメーキング的な東芝の商品が展示されていました。最初の電気洗濯機や冷蔵庫、テレビなどの家電製品などとともに、情報/半導体系に強かった東芝らしく「世界最初の日本語ワードプロセッサ」と「世界最初のノートパソコン」初代Dynabookの実機が飾られており、発売当時は大変ビックリしたことを懐かしく思い出しました(でも買ったのは、直後に発売されたNECの98ノート)。
一方の「暮らし」のパートは、発電などのエネルギ系,エレベータや自動改札機などのメカトロ系,MRIなど医療機器系などの技術と商品が暮らしにどの様な便利さをもたらしたのか、これからさらにどんな世の中を実現していきたいと思っているのか、が示されています。ハンドルを回すと電気が発生して…という様な簡単な実験装置様のものの他、CGとタッチパネルなどを活用してゲームの様に表現したものなど、極力インタラクティブ要素を混ぜることで興味を促そうとしています。また実際に、多くの子供達もとても楽しそうに遊んでいます。
ただよく見ると結構難解な表現があったり、あるいは「これを紹介する意味ある?」という様なものが散見され、もう一歩練りきれていない感じが残念。
全体的にそれほど広いスペースではないものの、東芝が扱ってきた幅広い領域をきっちりカバーしながらうまくインタラクティブものが組み込まれており、想像以上に楽しめる空間になっていたのはさすが東芝、というところでしょうか(個人的には「歴史」パートも楽しかった)。
ただ、昨今の業務建て直しで手放してしまった領域の展示が結構あり、このヘンは今後どうするのかな?というのがとても気になりました(「歴史」としては残せるかもしれませんが…)。
もしかしたら展示範囲/規模縮小?あるいは?という可能性もゼロではないと思うので、気になる人は早めに行っておくといいかもしれません…
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