横須賀ドライドック見学(★☆☆,横須賀)

水のある風景

 横須賀市は市内に残る歴史的遺物/遺産の公開に積極的に取り組んでいる様で、多くの見学ツアーが市のweb上で告知されています。今回はその中の一つ、ドライドックの見学ツアーに参加。明治時代に作られた史物でありながら今も現役の巨大設備を見学してきました。

 横須賀にあるドライドックは江戸時代末期に江戸幕府により起案,着工され、その後明治政府が引き継ぎ完成させた日本最古のもの。江戸末期に幕府が慌てて買い付けた中古軍艦の修理用としてフランスの協力の元作られたそう。途中財政難で間が開いた時期もありますが、全部で3つのドック(1号~3号)がフランス技術者の設計・指導の元で作られました。
 その後大型化などの改修を加えつつ、さらに明治後半から昭和初期にかけて日本人設計により3つ(4号~6号)が作られましたが、終戦と同時に接収され、今はアメリカ海軍基地の一部として現在も使われています。
 そのうち、前半に作られた1~3号ドックが歴史的遺物され、見学ツアーが毎年実行されています。

 当日の集合場所はショッパーズ。あまり横須賀には馴染みが無かったので知りませんでしたが、実はショッパーズはアメリカ海軍基地に接しており、今回はその1F脇にある”DAIEI GATE”という名前の通用門(ショッパーズは昔はダイエーでしたからね)からの入場。手荷物チェックを受けて、金属探知機のゲートをくぐり、基地内へ。

 ドライドックは艦船の建造や修理に用いる”大型プール”で、海と接する面が扉船と呼ばれる浮舟構造体で塞がれています。水を満たした状態で扉船をどかせて船を入れた後、扉船を戻して水を抜くことで船全体を露わにします。作業が終わったら水を満たし、扉船をどかせて船を曳き出して終了。

 実際に目にしたドックはさすがに巨大。壁面は直方体の石積みで覆われており、重機などもなかった江戸~明治初期によくもこれだけ、という感じ。大型の船が入れられる大きさを確保しつつなるべく容積は小さくするため(多分、注排水の手間を省くため)、船底の形状に合わせて下へいくほど幅が狭くなる断面形状をとり、また上からみた形状も舳に沿ってすぼまっていく形をしています(ちなみに最近のドックは舳形状ではなく真四角のものが普通だそう)。

 1号ドックが最初にできて、続けて2号ドックを作るはずだったのだけれど明治政府にお金が無かったため先に小さい3号ドックを作成。またその後着工した2号ドックは小さい船を2積入れられる様に、ドックの中間部にも扉船を入る構造にする(後に船の大型化に合わせて中間部の扉船構造は取り去った)など、いろいろ工夫されています。
 また1号ドックも昭和初期に延長工事(陸側への掘削延長)が行われましたが、その延長部分は石積みではなくコンクリート構造になっており、歴史を感じます。

 残念ながらドックは3つとも空っぽ。また特に動く機械モノなども無いので、見学とは言っても実質石積み構造を眺めるだけ。ドックそのものはびっくりするほど大きくて、石積み構造は巧みで見応え十分だったけど、もう一つ詰めに欠ける…というのが率直な感想。
 今も使っている設備なので「使っている様子を眺められる」か、あるいは下に降りて「じっくり構造を眺められる」などがあると、もっと良かったんだけどなぁ。

hisashi

hisashi

長年の間にあちこちの引き出しに少しずつ溜まったガラクタを ただただ、適当にひっくり返して並べてみました。

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