横浜みなとみらいにある「三菱みなとみらい技術館」は、その名の通り三菱重工が手掛ける技術モノのミュージアム。トヨタの産業記念館などメーカー開設の博物館はいろいろありますが、1社で陸・海・空・宇宙をカバーできる日本企業は三菱重工だけなので期待して行ったのですが、ちょっと尻すぼみ…
ランドマークタワーに隣接する三菱重工横浜ビル1F~2Fを占めていて、中は「航空宇宙/海洋/交通・輸送/環境・エネルギ」の4ゾーンに分けられ、それぞれの領域でロケットエンジン,MRJ,深海探査艇,洋上風力発電所…など三菱重工製品の模型とともに技術的な解説がなされています。
特に日本の場合宇宙・航空系の技術展示はチープになりがち(説明パネルばっかり、とか)ですが、ここは自ら製品を手掛けていることもあって、H-Ⅱロケットエンジンの実物やMRJの実寸模型(さすがに”機首”~”主翼/エンジン”の一部だけですが)やフライトシミュレータなどが置かれ、狭いにも関わらず他の科学技術館よりは”モノの展示”が充実しています。
また「テクノロジーを身近に感じてもらう」「遊んで学べる」ミュージアムを標榜しているだけあって、タッチパネルを使ったクイズマシンがあちこちに用意されてあったり、大きなスクリーンで映像を見せるなど、いろいろな工夫で「ただ置いてあるだけ」「説明しっぱなし」に留まらないミュージアムを目指しているのだろうなぁ、という思いが見て取れます。
一方で、展示物と比べるとクイズなどのコンテンツ類のレベルが低く感じた、というのも正直な感想。
例えばMRJエリアにあった3択クイズでは「全て1番が正解」とか、大きなスクリーンに映像を投影しているのだけれど、ただ映しているだけで内容がよくわからない、とか。
特に最も残念だったのが「バーチャルツアーステーション」。これは「半径7m、全幅15mに及ぶ巨大シリンドリカル(円筒形)スクリーンが視界全域を覆い、まるで映像の中に入り込んでしまったような”異次元空間”ツアーが体験できる」という触れ込みで今年(2018年)1月に追加された演し物。
上映中の3種の映像のうち、「長崎造船所で創業当時から今も現役で活躍している巨大なクレーン」と「MRJ」の2つを見学。「クレーン」は巨大なスクリーンを目いっぱい使って大きさ/迫力を示そう、という意図はわかるものの、ただ「古くて、大きくて、現役」以上終わり、という内容の薄さにまずビックリ。
一方の「MRJ」は、最初に「特に説明は無しで、飛行機がただ飛んでいる映像です」とわざわざ断りを入れてから始まる怪しさですが、実際はMRJのデモフィルム。開発中の機体のテストフライトなどが含まれる結構ワクワクする内容で、ちゃんとナレーションも入っているのですが、全て英語。なぜ日本語化する手間を惜しんじゃったの?日本人へはPRする気無し?
日本の技術系ミュージアムとしてはかなり頑張っている方だと思うのだけど、ちょっとづつ粗さや抜けが目立ってガッカリする面も多々あり。また大人500円という価格設定も、中途半端感あり。
もっと高額にする代わりにコンテンツもしっかり作りこむか、あるいは企業CSRの一環と割り切って無料にするか。メリハリをつけた方がいい感じ。
またせっかくなので「三菱重工」ではなく「三菱グループ」としての技術館にして、もっと内容を充実してくれるといいなぁと思います(三菱電機の人工衛星とか)。
いずれにしても、この様な技術系ミュージアムは日本では貴重であり、開設してから24年経っているのに内容を陳腐化させずにメンテし続けている、という努力は素晴らしいことなので、今後もぜひ内容充実に向けてリニューアルしていってくれるといいなぁ、と思います。
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